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生産者を支えるJAいるま野の営農推進員
第三営農販売センター 小岩井 貴裕(左)・
第一営農販売センター北部資材センター
内野 旭(右)
生産者は農業経営する上で、さまざまな問題にぶつかります。生産資材の選び方や技術の指導、市場の情報収集…。そんなとき、生産者の身近な相談相手となり、生産者とともに産地づくりを行っていくのがJAの「営農推進員」です。今月号の特集では7月号に引き続き、JAいるま野の「営農推進員」2人を紹介します。
米と野菜の二刀流
入組5年目の営農推進員
第一営農販売センター北部資材センター 内野 旭
私は、JAいるま野に入組して今年で5年目を迎えました。現在は、北部資材センターで少量多品目を栽培する鶴ヶ島支店管内と、水稲栽培が盛んな入西支店管内で営農相談業務を担当しています。地元が鶴ヶ島市ということもあり、親しみを感じながら業務に励んでいます。
実家は、露地野菜を栽培する農家。子どもの頃、父が育てた野菜が畑にずらりと並んでいる光景を見た時には、そのすごさに衝撃を受けました。大学では米づくりの過程を学んだほか、授業の一環として実際に畑で野菜を栽培したりと自ら農業を経験する機会がありました。しかし、父が育てたような立派な野菜を育てることはできませんでした。農業の難しさと父の偉大さを改めて痛感し「地元野菜の消費拡大に関わる仕事がしたい」と思い、JAに入組しました。
生産者からの感謝の言葉を胸に
さらなる高みを目指す
入組した1年目は、米(主食米、酒米、米粉用米、飼料用米)の検査関係などの業務を、2~3年目には水田地帯である川越市内の営農相談業務を担当していました。ある日、米生産者から「色々除草剤を試してきたけど効果がない。何か良い除草剤はないか」と相談がありました。そこで私は、今までどのような除草剤を使っていたのかを確認するとともに田んぼの状態などを見極め、効果的な除草剤を提案しました。その後、「雑草が生えなくなったよ。見事だ」と生産者から感謝の言葉をいただくことができました。その言葉を聞いたとき、これまで以上のやりがいを感じたことを今でも覚えています。
米づくりに関しては生産者や先輩営農推進員からの指導もあり、知識も徐々に増えてきました。現在では、これまでに培った知識を入西支店管内の米生産者からの相談に活かすことができていると実感しています。春には育苗についての相談が、稲刈りを終えた秋には次年度に向けた資材の相談があります。生産者からの相談を通じて、季節の移ろいを感じるのも営農推進員としての魅力の一つかもしれません。
一方、鶴ヶ島支店管内の生産者からは、季節野菜の栽培方法や病害虫対策などの相談が数多くあります。当然、野菜に必要な肥料や農薬などは品目によって異なります。農薬には浸透性や残効性などの特徴があり、殺虫剤にも有機リン系やネオニコチノイド系などの系統分類があります。営農推進員はこのような農薬の系統や成分をしっかりと理解し、品目にあったものを提案しなければなりません。特に農薬などは種類が多いため、こういった特徴を覚え素早く対応できるよう今現在も勉強しているところです。
コミュニケーションは最大のカギ
私は、常にコミュニケーションの大切さを実感しています。先日、近隣の生産者宅を巡回していると、私の顔を見るなり「そうだ!昨年も買った肥料を今年も頼むよ!」と、資材の注文がありました。
訪問活動でのコミュニケーションは、身近な存在であるJAにおいて最も大切なこと。生産者とはもちろんのこと、上司や先輩とも情報交換するなど普段からコミュニケーションを取ることを大切にしています。中でも、報告・連絡・相談は特に重要で、より信頼される営農推進員になるためには、必要不可欠なことだと思っています。
ハイブリッドな営農推進員を目指して
生産者からの相談事は、多岐に渡ります。正直、野菜についてはすぐに回答できないこともありますが、その場合は事務所に戻ってから上司や先輩に相談するなどし、私自身の勉強にもなっています。今後は、水稲・野菜とも相談の9割をその場で答えられるようハイブリッドな営農推進員を目指して引き続き勉強に励み、日々業務に邁進していきたいと思います。
入組8年目の
新米営農推進員
第三営農販売センター 小岩井 貴裕
私は4月から営農推進員として、主にJA農産物直売所や量販店などに出荷する狭山市内の生産者を支援しています。JAいるま野に入組して8年が経ちますが、それまでは北部地域で1年間、支店の窓口業務を担当。その後6年間は、渉外担当として組合員や利用者の方と接してきました。
農業は、私にとって幼少の頃から身近な存在でした。以前、私の祖父は茶や季節野菜などを栽培しており、畑へよく連れていってもらったことを今でも覚えています。しかし、周辺では遊休農地や耕作放棄地も多く、変わりゆく農村地帯を見て農業を継続していく難しさも同時に感じていました。
こうした中、就職活動を控え将来について考えていたところ、JAいるま野の地域に根付く理念に共感。そこで、「どうしたらもっと農業を魅力的なものにできるのか」「どうしたら遊地農地を減らせるのか」「その実現こそが地域貢献につながるのではないか」と考え、JAいるま野に入組しました。当初は支店配属でしたが、その間も「日本農業技術検定」や「毒物劇物取扱者試験」といった農業関係の資格取得などにも挑戦し努力を重ねてきました。現在も多くの先輩方に支えられながら、一人前の営農推進員になれるよう日々奮闘しています。
新規作物を提案
実現に向け、ただ今奮闘中!
営農推進員の業務は多岐に渡ります。肥料や農薬など生産資材の提案をはじめ、時には新技術の提案をする場合もあります。また、軽トラックの購入についての相談を受けることもあり、協力会社と共に提案し検討していただいたこともあります。
先日、私が担当する堀兼支店管内の生産者から「新しい品目に挑戦したい」という話がありました。そこで、先輩営農推進員をはじめ、JA全農さいたまなどに相談。その品目の需要はあるのか?どのような品種が適しているのか?作付け計画や栽培方法は?必要な資材は?10年先の作付けは?…など、ただ単に提案するのではなく、他品目への影響や栽培規模といった細かな点も確認しながら資料にまとめ、生産者にマッチした提案を行いました。打ち合わせは半日以上にもおよび、新たな宿題もいただきました。一つ一つ丁寧に確認しながら、生産者の所得向上に向けて私自身も生産者と一緒になって取り組んでいます。
先日、その生産者から「いつも生産者の立場に寄り添って提案してくれる。詳しく調べてきてくれてとてもありがたい」と、お褒めの言葉をいただきました。生産者の新たな取り組みが実現できるよう、これからもしっかりと支援していきます!
生産者の「笑顔」と「元気」
に繋げたい
入組以来、支店での業務が長かったため、営農部門への異動は意外と感じる方もいらっしゃると思います。しかし、実は入組当初から私自身が望んでいたものでした。
営農推進員となった今、部署に関わらず「組合員や利用者に寄り添うことの大切さ」を改めて感じています。組合員や利用者に寄り添うためには、まず相手の話をよく聴くこと。そして、将来にも役立つ提案をすることが重要だと考えています。この想いは、渉外担当だった頃から今でも変わらず持ち続けており、これまでの業務で身に付いた財産だと思っています。営農推進員は、病害虫の発生時などスピード感を持って対応しなければなりません。経験はまだまだ浅いですが、生産者に頼りにされ、何でも相談してもらえるような営農推進員を目指して努力していきたいと思います。
私のセールスポイントは、「笑顔」と「元気」の良さです。地域農業をこれまで以上に魅力的なものにし、生産者の所得を向上させることで、生産者の皆さんの「笑顔」と「元気」に繋げていきたいと思います。