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いるま野産農産物
取引先から見たその強みとは
東京青果(株)
取締役 野菜第5事業部長
富田 雅之 氏
(株)ロック・フィールド
購買本部 調達部
ヘッドバイヤー
田中 秀幸 氏
(株)ワタリ
北海道支店 次長
島田 昌浩 氏
消費者をはじめ取引先からも高い評価を得ている「いるま野産農産物」その販路は市場、食品メーカー、量販店、外食産業など多岐にわたります。ではなぜ、いるま野産農産物は選ばれ続けているのでしょうか?
今月の特集では、取引先担当者の方々にその評価をお聞きしました。
販売強化に向けた私の役割
私は入組以来、営農畑を歩みホウレンソウ、コマツナ、カブなどの品目担当を経て、昨年の4月から取引市場や量販店に出向く営業担当となりました。
市場訪問する際は、先ず場内の他産地の状況を確認します。青果物の需要と供給のバランスが保たれていれば、場内の荷が少なく、逆に在庫が多い場合、荷が飽和状態でバランスが崩れていると判断できます。その時は生産者が手塩にかけて育てた農産物の価格下落を防ぐため手立てを考え、市場担当者に提案します。
例えば、昨年11月のホウレンソウは潤沢で価格が低迷する要素が見えていたため、取引先6社と「値決め」販売を行い安定価格の維持に努めました。
今後も各方面から品質が高いと評価をいただいている農産物を積極的にPRし、取扱量の拡大を図っていきます。JAの共販出荷(※)に賛同いただける生産者を増やし、産地を活性化させることが私の役割だと考えています。
(※)農家がJAを通じて農産物を出荷し、共同で販売すること。
販売部 販売推進課
営業担当
小西 純一 さん
(株)ワタリ
創業1972年。40年以上の間、青果物専門商社として東京や北海道、沖縄など全国7カ所に拠点を構える。「お客様が美味しく最後まで食べ切れる商品を流通販売する」を企業ポリシーに、①産地リレー・産地開発、②流通・ベンダー、③加工、④営業・販売、⑤販売促進の5つの事業を強みとする。フィリピンにもグループ会社を設立し、日本および世界15カ国の青果物を東南アジア諸国にも販売している。
―仕入れの際に品物を見極める「ポイント」は何ですか?
どんな産地のどんなものを選べば良いのか――。そのポイントは、何と言っても「強みがあるかどうか」です。野菜や果物の持つみずみずしさや美味しさを楽しんでいただきながら、最後まで食べきっていただくためには、他産地にはない強みが重要です。
例えばホウレンソウの場合、消費者に鮮度の良さをアピールできる束の状態で出荷をして頂いていますが、束はそのまま水に浸けることでより鮮度の高い状態を保つことができます。最近では作業時間を大幅に短縮できるFG(鮮度保持フィルム)出荷が増えていますが、JAいるま野さんは当社の束出荷の要望に生産者と細かい調整をし、しっかりと対応してくれています。こうした生産者と一緒に取り組む姿勢は、まさにJAいるま野さんの「強み」と言えるでしょう。
―いるま野産農作物への消費者の「反応」はいかがですか?
JAいるま野さんとの取引は、18年ほど前から続いています。市場(横浜丸中青果(株))からの紹介を機に今ではカブやコマツナ、みず菜なども取引しています。消費者の反応も良好で「サトイモは粘りと甘みがあり、他産地のものとは違うね」とか「埼玉の野菜はキレイ!」といった声が多く聞かれます。その人気は、札幌市を中心に展開するスーパーマーケット「東光ストア」さんで毎年、『いるま野フェア』を開催するほどです。
また、当社ではいるま野産農産物を原料とした加工品の開発や販売も行っています。オリジナルキャラクター「とれ蔵」を使い産地をアピールしたデザインパッケージで販売。調理がし易いと好評で、今後も続けていきたいと考えています。
いるま野産農作物が札幌を中心に北海道にも浸透してきた今、JAいるま野さんをはじめ、管内の生産者にはこれからもこだわりのある農作物、美味しい農作物を北海道の消費者にも供給してもらいたいと思います。
(株)ロック・フィールド
1972年の創業で神戸市東灘区に本社を構える。惣菜の製造および販売を行っており、売上高は515億円超(2018年4月期)。主力工場の静岡ファクトリーでは1日あたり17万食分のサラダが生産される。同社ブランドのRF1(アール・エフ・ワン)に代表される店舗を全国に展開し、中なかしょく食※業界のリーディングカンパニーとしての地位を確立している。※中食とは、外で買った惣菜などの調理済み食品を持ち帰って自宅などで食べるスタイルのこと
―JAとの取引の「経緯」は?
関西の神戸を拠点としていることもあり、以前は関東の産地との関わりがありませんでした。お付き合いのあったJA全農青果センターさんと95年頃から情報交換させていただき、JAいるま野さんを紹介されたことが始まりです。今では欠かすことのできない信頼できる野菜産地の1つです。20年来続いている当社とのお取引はJAいるま野産の品質の高さの証でしょう。
―JAとの「取扱品目」は?また、どのように「商品化」されていますか?
コマツナ、ミズナ、ホウレンソウをメインに、期間限定でウドやルッコラなど6品目を年間約92トン使用しています。仕入れ後は全農さんを通じコールドチェーンで当社の静岡ファクトリー(磐田市)まで運び、サラダ商品用として加工します。
「健康」「安心・安全」「美味しさ」「鮮度」といった価値観にこだわった当社のサラダは、基幹ブランド「アール・エフ・ワン」などの店舗で販売し多くのお客様に受け入れられています。
―今後、JAへの「要望や期待すること」はどんなことですか?
当社が販売するサラダで黄色のニンジンなど色つきの野菜を使用することが増えてきました。産地の担当者からすると安定供給量の確保ができる品目を提案してくれることはありがたいことですが、まだ市場に出回っていない野菜についても「うちにはこんな野菜があるよ」と提案していただきたい。簡単なことではありませんが、協力して栽培サイクルを確立し、5年、10年後に繋げたいと思っています。
また、FG袋で納品されたホウレンソウなどは、サラダ加工時に袋から取り出す手間がかかりますが、JAいるま野さんがバラ出荷の割合を増やしてくれるお陰で、作業効率を高めることができています。
これだけの栽培面積と品目の多さ、技術の高い生産者が揃っているJAいるま野さんは魅力的です。ぜひこの技術を維持し、質の高い野菜を提供し続けてほしいと思っています。
東京青果(株)
東京都中央卸売市場大田市場内に本社を構える。全国から届く青果物や加工品を競り、相対などの方法で仲卸、小売商などに販売している。売上高は、青果物卸売業界ではダントツトップの2,000億円超。生産者と消費者を結ぶコーディネーターとしてニーズをいち早く捉え、安心・安全な青果物の供給と消費者の健康維持を目指すベジフルセブン運動にも取り組んでいる。
―様々な取引がある中、JAや産地の「評価」はいかがですか?
こうした役割をしっかりと果たしていくためには、産地から予定されている青果物がきちんと集荷されなければなりません。時期や数量さえも見通せない産地もある中、JAいるま野さんでは共販体制がしっかり確立されていると感じます。一昨年、ホウレンソウが台風の影響を受けた際には、小西さんを中心にJA担当者がしっかりと対応してくれました。「○○頃、○○位の量なら出荷できそう」と状況を迅速に把握してもらい、市場としても一定量を確保することができました。量販店などにも影響するため、非常に助けられた事として記憶に残っています。
また、鮮度や配送の点を考えると、市場からの距離も大切です。いるま野管内のサトイモやホウレンソウは関東圏で圧倒的なシェアを誇っています。市場としても、新鮮な農作物を大量ロットで仕入れることができる重要な産地として捉えています。
―青果流通における「課題」と、今後JAに「期待すること」は何ですか?
国内で生産された青果物は、約9割が市場を経由しています。しかしながら、生産者の高齢化やライフスタイルの変化に伴う消費の低迷など市場を取り巻く環境は厳しさを増しています。こうした中、いかに産地と一体となって農作物を流通させていくかが今後の課題となるでしょう。
いるま野管内は、多くの若手農業者が活躍しています。市場全体の拡大が難しい中、現在の生産量を維持していくためには、若い人の力と消費者の求める新たな品目への挑戦が必要です。元々定評のある高い生産技術と良質な土壌を活かし、しっかりと次世代に継承していってほしいところです。
JAいるま野さんは今後も農業者をしっかりとバックアップし、今以上に必要とされるJAになってもらえれば、農業や市場にとって明るい未来が拓けてくることでしょう。