昨年、中国で火傷病が発生したことにより、現在は中国産の花粉の輸入が停止されています。
そこで、火傷病となし花粉についてご紹介します。
Erwinia amylovoraという細菌(火傷病菌)による植物の病気です。リンゴやナシなどのバラ科ナシ亜科植物に広く感染し、大きな被害を起こします。
感染した植物は、火にあぶられたような症状を示すため、それが病名の由来となっています。
これまで発生国とされていなかった中国において火傷病が発生していることが確認され、令和5年8月30日に中国から火傷病菌の宿主となる植物(花粉を含む)の輸入が停止されました。
現在、日本での発生が確認されていないため、海外から宿主植物の枝や果実などの輸入を禁止して、侵入を強く警戒しています。
中国産花粉を使用している方は、次の点について御協力をお願いします。
なしの主要品種は自家不和合性のため、遺伝子型の異なる品種の花粉を受粉する必要があります。県では、幸水や豊水等に対して新興、松島を受粉用品種として利用しています。
受粉樹(採花専用の樹)から、風船状の蕾~開花直後の花を採取します。花を採取した後は、早めに採葯を行いましょう。
花蕾を採葯機に入れ、葯とゴミを分離します。10メッシュ(1.7mm目)のふるいにかけます。
採取した葯を薄く広げ、開葯機で15時間前後加温します。開葯の最適条件は、温度25°C、湿度30~50%が目安です。
逆に、20°C以下、湿度が高い、葯を分厚く広げたりすると、開葯に時間がかかります。30°C以上では発芽率や貯蔵性が低下します。
粗花粉の精選を行うことで、純花粉を得ることができます。花粉精選機やアセトンを活用して、純花粉が得られます。粗花粉でも受粉は可能です。
花粉の発芽率が良好の場合、花粉を石松子等の増量剤で希釈すると、花粉の使用量を節約できます。
花粉と増量剤を良く混合してから、受粉に使用しましょう。
増量剤と混合したら、当日中に使い切りましょう。
花粉を小分けにし、パラフィン紙で包む。花粉と同量の乾燥剤と共にジップロック等で密封、5°C以下で保存します。
短期間保存と同様に花粉を密閉した後、ジップロックやタッパーで二重に密閉、マイナス20°C以下で保存します。
川越農林振興センター
農業支援部
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