安定的に利益を確保しながら農業経営を進めるためには、日々の生産活動において、品質の良い生産物を生産できる技術力と生産原価等を考えたコスト意識を持った経営感覚が求められます。
また、経営判断を行う経営者には、今まで築いた経営基盤等の資産や資源を、後継者(次の世代)にどのように引継ぎ経営を継続していくかを、人材育成、税制面も考慮して、進めることも求められます。
いつかは訪れる継承の時、起こってから慌てることがないよう、以下手順を参考に、経営者と後継者による話し合いを重ねながら、後継者に経営者の「想い」も伝え、効率的で確実な継承ができるよう、準備をしてください。
まず、経営継承の必要性について認識し、目に見える資産だけでなく、現在に至るまでの歴史や経営者の想い、必要な技術など、知的な財産等も含めて、継承の考え方を整理しておくことが大切です。
一般に経営継承を進める場合に整理が必要な構成要素には、①人(経営)の継承、②資産の継承(設備、機械、農地等の事業用資産)、③知的資産(経営理念、従業員の技術や技能、ノウハウ、経営者の信用や人脈、顧客情報、許認可の権利、ブランドや商標のような知的財産)の継承の三つがあります。
現在の経営状況、資産等の把握(見える化)を進めて、事業用と個人の資産を仕分けし、後継者へどのようなものを引継ぐのか、整理しておきます。場合によっては、専門家や関係機関にお願いして整理しましょう。また、これらの資産の継承では、誰に、時期はいつ頃かを、明確にしておくことが必要です。
経営継承を実際に進めて行くには、中長期の事業計画と合わせて、各種手続きや時期、対策等の手法、現経営者、後継者、関係者が何を行うのかを、できるだけ具体的に情報として盛り込んだ「経営継承計画書」を策定することが望ましいです。
(経営継承計画書の様式や参考資料が、農林水産省のホームページからダウンロードできます。)
計画書として整理することで、進め方も分かりやすくなり、実行段階での進捗状況、何が進まず問題点となっているかなど、対応しやすくなります。
実際に経営継承を行う際には、資産等の権利移譲がある場合に、税金等の負担を考えることも必要になります。活用できる制度や支援策も各種ありますので、それらの制度名や手続きの時期等も考えて記載すると良いでしょう。
今まで努力を重ね守ってきた経営を、後継者へスムーズに継承していくために、準備段階で整理しどのように実行するかを盛り込んだ計画書が必ず役立つはずです。そして、必要な時間をかけて実行に移し、定期的にチェックを行い、計画通り進められているのかを確認しましょう。問題がある場合には、原因と対策を考え、早めに見直しや軌道修正を行いましょう。
経営継承には、継承する相手により、①親族内継承、②法人化等を行い従業員が継承する親族外継承、③他の方に継承する第三者継承などがあります。実際に検討を進めるうえでは、専門家による支援が必要な場合もあるため、農協をはじめとする関係機関の支援を受けることも検討してください。
埼玉県では、意欲がある農業者の方々の経営改善を支援するために、国の事業を活用した農業経営・就農支援センターも設置していますので、活用を希望する場合は、川越農林振興センター TEL:049-282-1804までご相談ください。
川越農林振興センター
農業支援部
TEL:049-242-1804