新梢を誘引すると新梢の伸長停止期が早まり、枝が充実し、えき花芽の着生が増加します。
また、誘引によって樹冠内の日当りが良くなり、果実品質を向上させます。
誘引の時期は、満開後100日頃です。骨格枝の側面~下側から発生した新梢で、次年度側枝として利用できそうな1m以上伸長した新梢を選び誘引します。誘引角度は棚面に対し45度が適当と考えられますが、新梢の太さや長さ、主幹からの距離等に応じて適宜調整します。
誘引で枝の肥大を抑え、優良な側枝候補枝を育成しましょう。
近年の気候変動に伴い、ナシの品質の低下や生産の不安定さが懸念されています。そこで、新品種や優良品種を導入し、労力分散、収益性、危険分散等を考慮した品種割合にすることで、切れ目なくナシを生産できる体制を築くことができます。
「蒼月」は、農研機構が育成した、極早生品種の青ナシです。交配は「なつしずく」×「はつまる」。
収穫期は7月下旬~8月上旬と旧盆より前に収穫でき、貯蔵性は「幸水」と同程度で7日程度です。果形は円形で、芯腐れ、裂果の発生は見られず、みつ症は軽微です。苗木の販売時期については未定です。
やや晩生の赤ナシで、豊水と新高の間に収穫できます。果実は扁平形で、日持ちは10日前後です。
芯腐れ、みつ症などの生理障害の発生は少ないですが、水浸状の果肉障害やコルク症果肉障害が発生することがあります。
晩生ニホンナシ品種で、新高と同時期か、やや遅い時期に収穫できます。日持ち性は豊水と同程度です。交配は「王秋」×「あきづき」。新高より、果肉が柔らかく、高糖度で食味が優れるのが特徴です。
甘太は、県内でナシ疫病の罹病事例があります。主幹部の泥はね対策や罹患部の早期発見・除去などの主幹の病害対策を行うことが重要です。
品種 | 樹勢 | 枝の 発生密度 |
短果枝 の着生 |
えき花芽の 着生 |
開花 中央日 |
収穫 中央日 |
果実重 (g) |
糖度 (%) |
果肉 硬度 |
蒼月 | やや強 | やや少 | 少 | 少 | 4/11 | 7/29 | 367 | 12.4 | 4.8 |
あきづき | 強 | 多 | 中 | 多 | 4/12 | 9/4 | 576 | 12.4 | 4.9 |
甘太 | 強 | 中 | 多 | やや多~多 | 4/8 | 9/29 | 571 | 14.7 | 4.4 |
幸水 | 中 | 中 | 少 | やや多 | 4/11 | 8/17 | 366 | 12.4 | 5.6 |
品種 | 樹勢 | 枝の 発生密度 |
短果枝 の着生 |
蒼月 | やや強 | やや少 | 少 |
あきづき | 強 | 多 | 中 |
甘太 | 強 | 中 | 多 |
幸水 | 中 | 中 | 少 |
品種 | えき花芽の 着生 |
開花 中央日 |
収穫 中央日 |
蒼月 | 少 | 4/11 | 7/29 |
あきづき | 多 | 4/12 | 9/4 |
甘太 | やや多~多 | 4/8 | 9/29 |
幸水 | やや多 | 4/11 | 8/17 |
品種 | 果実重 (g) |
糖度 (%) |
果肉 硬度 |
蒼月 | 367 | 12.4 | 4.8 |
あきづき | 576 | 12.4 | 4.9 |
甘太 | 571 | 14.7 | 4.4 |
幸水 | 366 | 12.4 | 5.6 |
川越農林振興センター
農業支援部
TEL:049-242-1804