水稲苗の良し悪しはその年の収量や品質を左右しますので、基本技術の励行を心がけましょう。
①床土は熱処理等により滅菌された「水稲育苗培土」の購入・利用がおすすめです。自分で床土を作る場合は、畑の土は使用せず、病気の発生がなかった水田の土を使用しましょう。
②床土は㏗4.5~5.5が最適です。5.5以上は立枯病が発生しやすくなります。
③育苗箱や保温資材は、事前の洗浄・消毒が重要です。特に、前作や前々作で立枯病等の発生があった場合は、必ず育苗箱を消毒しましょう。
①種子更新を行わないと生産物の品質低下の恐れがあります。また、品種証明のためにも種子更新は毎年行いましょう。
②充実した種子を選ぶため、塩水選を行います。水10リットルに対し、うるち米なら2.1kg、もち米なら1.5kgの食塩を溶かした液に種もみを入れ、浮いてきたもみを取り除きます。塩水選後は、必ず水洗いを行い、塩分をよく洗い流しましょう。
③種子消毒は必ず行いましょう。一般に行う薬剤での消毒では、いもち病、ばか苗病、イネシンガレセンチュウなどの種子伝染する病害虫防除ができます。また、温湯消毒では、農薬の使用回数を減らし、いもち病防除ができます。
この温湯消毒はJAで受付ていますので、事前に実施日時等を確認しておきましょう。
④種もみを一斉に発芽させるため、浸種を行いましょう。浸種は水温×日数=100℃(コシヒカリは120℃)が目安で、水温15℃の場合は約7日間となります。なお、水温が10℃以下では、発芽不良等を生じる場合があります。また、酸素不足を防ぐために2~3日に1回は水を交換しましょう。(薬剤消毒の場合は、効果が薄れるので初日の3日間は水を替えないようにします。)
①浸種後は催芽機などで30℃に加温し、図1のはと胸状態になるまで芽出しを行います。加温時間は一晩を目安としましょう。
②播種量は乾もみで80~100g、催芽籾で100~125gを目安に薄播きを心掛けましょう。厚播きは軟弱徒長を助長し、苗いもちや植え痛みの原因となります。また、播種後は被覆資材の利用による保温を図り、発芽を促進しましょう。
①育苗期間中のかん水は、床土の表面が乾いた朝~午前中に1回が基本です。天候条件や土の乾き方に合わせて、育苗初期は1~3日程度おき、後半は朝と昼に実施し過湿・過乾を避けるようにしましょう。
②温度は35℃以上の高温や、10℃以下の低温を避け、表1を参考に、適温を保ちましょう。
適温 | 時期 | |
昼 | 夜 | |
播種当日~ 3日頃まで |
30℃ | |
播種後4日~ 7日頃まで |
20~25℃ ・35℃以上にしない ・初期に直射日光に当てない |
15~20℃ ・15℃以下にしない |
播種後8日~ 田植えまで |
20~25℃ ・20℃前後で太陽光や外気に当てる |
10~15℃ ・田植え4~5日前には外気に当てるが、9℃以下は厳禁 |
①稚苗は葉齢2.0葉程度、中苗は葉齢4.0葉程度が田植えの適期です。
②重要病害虫対策のため、田植え前の箱施用剤散布がおすすめです。「彩のきずな」は紋枯病に、「コシヒカリ」はウンカ類に登録のある箱施用剤を使用しましょう。
川越農林振興センター
農業支援部 TEL:049-242-1804