近年、暖冬の影響により埼玉県内でスクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)の発生が広がっています。JA管内でも富士見市・ふじみ野市の水田において発生が確認されています。移植後のイネが食べられる被害も出ていることから、発生地域では次期作までに対策を行いましょう。
ジャンボタニシとして広く知られている貝であり、食用として海外から持ち込まれました。古くから水田に生息する在来種のタニシとは異なります。
特徴は、長い触角と短い螺旋部を持つことと、成貝では3センチメートルを超える大きさになることです。(写真1)また、成貝がイネの茎などに産み付ける卵塊(写真2)は、鮮やかなピンク色をしています。
水田内に侵入すると、田植え後の柔らかいイネを食害するため、欠株が生じて収量に影響することがあります(写真3)。
スクミリンゴガイは寒さに弱いため、冬季の耕うんにより貝の密度を減らしましょう。土中で冬眠している貝を掘り返して冷気にさらすとともに、貝を砕きます。耕うんの深さは浅めで、通常の半分以下の作業速度で丁寧に耕うんします。
田植え後は2~3センチメートルの浅水にすると、食害を減らすことができます。また、浅水にすると水温が上がり、イネの分げつも促進されます。
スクミリンゴガイの対策は前述の(1)、(2)を基本としますが、水田の貝密度を減らしたい場合などは、薬剤による防除をしましょう。
・ スクミノン(10アールあたり1~4キログラムを散布、収穫60日前まで、2回以内)
・ スクミンベイト3(10アールあたり2~キログラムを散布、発生時に散布)
未発生のほ場でも、近隣のほ場や水路でスクミリンゴガイが発生している場合、水口から侵入する可能性があります。侵入防止には水口に1センチメートルほどの網目の網袋等を取り付けましょう。
令和4年8月10日現在の農薬登録内容で作成。
農薬を使用する際には、必ずラベルを確認しましょう。農薬の飛散防止に努めましょう。農薬の使用記録簿をつけましょう。
川越農林振興センター
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