運動前後の食事
食育インストラクター●岡村麻純
息子の学校では春に運動会があります。運動会やスポーツの試合前など、朝から食事を何にしようかと母も気合が入ってしまいます。お子さんがいる家庭では、スポーツの習い事など運動前に、どのタイミングで何を食べてもらおうか悩むことも多いのではないでしょうか。
元気に運動をするためには、ご飯や麺類に含まれる炭水化物が必要です。しかし、エネルギーをたくさん取らないと、と食べ過ぎてしまうとおなかがいっぱいで動きづらく、また消化にエネルギーが使われてしまって、運動に全ての力を使い切れません。大事な日の朝こそ、油物は控え、おにぎりやパスタなど、炭水化物は腹八分目にするのが一番です。また、胃の中の物を消化するには、3時間ほどかかります。そのため、試合時間など一番力を発揮したい時間の3時間前までには食事を済ませておくと良いと思います。3時間もたつとちょっと小腹がすいてしまうという子には消化しやすいゼリーやバナナを1〜2時間前に食べるのもお勧めです。
運動をたくさんするときに意識してほしいのが、鉄分です。鉄分が不足してしまうと持久力も落ちてしまいます。毎日元気いっぱいに過ごすためにも、日頃から、ホウレンソウやヒジキ、赤身のお肉を意識的に食べて、鉄分不足にならないよう気を付けたいものです。
たくさん運動をした後には、あまり時間を空けずにエネルギー補給をすることも大切です。サンドイッチなど、炭水化物とタンパク質が同時に取れる物が理想的です。また、運動後の蜂蜜レモンもお勧めです。蜂蜜は使ったエネルギーを素早く補給してくれますし、レモンのクエン酸やビタミンCは体にたまった疲れを取ってくれます。
わが子が全力を出して思いっ切りスポーツを楽しめるよう、前後の食事に愛情を込めて、応援する気持ちを伝えたいと思います。
介護の大変さを分かってもらえない!
介護者メンタルケア協会代表●橋中今日子
介護のトラブルは深夜や早朝に起きやすく、その苦労が見えにくいものです。介護者の多くが「分かってもらえない」と孤独を抱えています。
■状況ではなく要望を伝える
認知症の夫を介護しているYさんの事例です。夫の認知症が進み、夜中に廊下で用を足すようになりました。夫がトイレに起きる気配を感じると飛び起きて誘導するため、Yさんは寝不足でヘトヘトです。ケアマネジャーは、Yさんが訴える介護状況を傾聴してはくれるのですが、生活が変わるわけではありません。
多くの介護者は介護の大変さを伝えるために出来事を詳細に話します。そのため、面談時間を状況報告だけに費やし、「愚痴を吐き出したいんだな」と誤解されてしまうことがあるのです。分かってもらわないといけないのは状況ではなく「要望」です。
■「もう無理」と言っていい
要望を伝えるといっても、日々の介護に追われていると、何をどう伝えればいいのか考えられなくなります。そんなときは「もう頑張れない」「つらい」「苦しい」と伝えてみてください。Yさんの場合は、「来月も同じサービスでいいですか?」と言われた瞬間、「もう無理です、気が狂いそう!」と叫んだことが転機になりました。ケアマネジャーから緊急ショートステイの提案があり、Yさんはようやく休息を取ることができたそうです。
レスパイト(介護家族支援短期)入院や緊急ショートステイなどの制度はあるものの、日常的に気軽に利用できる介護者サポート制度はまだ整っていません。しかし、介護殺人、心中事件が増え続けている今、介護者それぞれに合ったサポートが必要です。介護者自身はもちろんのこと、周囲につらそうな家族介護者がいたら、地域包括支援センターや市区町村窓口に相談するよう声かけしてください。