収穫直後の樹は、光合成によって貯蔵した養分の多くを消費しています。収穫後は、来年実を成らすための養分貯蔵期に入るので、礼肥を施用して早期の樹勢回復に努めるとともに、樹の養分貯蔵を助長してあげると良いでしょう。
このため、梅の収穫後は、すぐに礼肥を施用してください。
【肥料の種類】
礼肥施用は、有機質肥料よりも化成肥料が適しています。礼肥の目的上、速やかに樹に養分を供給したいので、時間をかけて養分を供給する有機質肥料よりも即効性のある化成肥料を施用しましょう。
【施用量】
施用量は、着果量の多い成木には10アールあたりの成分換算でN‐P‐K=3‐0‐3(キログラム)を目安に施用します。また、着果量の少ない幼木(15年生未満)には、10アールあたりの成分換算でN‐P‐K=1‐0‐1(キログラム)を目安に施用してください。
リン酸が含まれない理由は、樹においてリン酸を必要とするのが種子形成など生殖活動の時期であり、元肥で十分量のリン酸を施用している場合は追肥をする必要がないためです。
収穫後の管理では、樹の養分貯蔵を助長してあげることが重要ですが、夏季剪定を行うことも梅の樹が養分を貯蔵しやすくするために必要な管理のひとつです。
【夏季剪定時期】
剪定時期は8月下旬〜9月中旬を目安に行います。
ポイントは、梅の自発休眠が始まってから剪定を行うことです。自発休眠し始める8月下旬よりも前に枝を落としてしまうと、樹は栄養成長期の真っただ中であるため、剪定によって失った枝を補うために無駄な養分を消費してしまいます。
【剪定対象となる枝】
樹冠内部の主枝や亜主枝の背面に発生した徒長枝を落としていきます。また、勢いが強く、枝の基部が茶色に変化した枝や重なり合って日陰を作っているような枝を落とします。
夏季剪定により、樹冠の内部や下枝への受光が改善され、内部の枝が充実します。(図)
収穫後から休眠期までの間に気を付けなければならない害虫は、カイガラムシ類とケムシ類です。
夏季防除では、農薬散布だけでなく、物理的防除を組み合わせて防除すると効果が高まります。
【カイガラムシ類】
梅でよく見られるのはウメシロカイガラムシで、多発園ではアプロードフロアブル(1,000倍・2回以内)で防除し、休眠期には粗皮削りを行いましょう。
【ケムシ類】
8月に発生が多くなるモンクロシャチホコなど、ケムシ類対策も重要です。発生初期に、手で物理的に防除すると良いのですが、取り残しがあると多発してしまいます。多発園では、マトリックフロアブル(2,000倍・3回以内)で防除してください。
農薬を使用する際は必ずラベルを確認しましょう。
農業飛散防止に努め、使用記録簿をつけましょう。
川越農林振興センター
農業支援部
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