理解が追いついていないのが現状です。そうした現状を踏まえ、まず必要なのは「より丁寧に発信を行うこと」です。量販店などで消費者が購入する農産物は、農場段階、出荷段階で選別された選りすぐりのものが並んでいるということ。ただ高い・安いという一側面だけを伝えるのではなく、様々な生産過程を経て、初めて美味しい農産物を食べることができるという事実が分かれば、農産物については決して高いものではないと理解していただけると思います。その始めとして、JAでは准組合員の方などを中心に「収穫体験」や「農作業の手伝い」を薦めるのも有効だと考えます。実際に農作業を経験してもらうことで、農業の必要性や苦労などを知ってもらい、生産者と一般消費者を繋ぐ代弁者として農業の価値や魅力を発信してもらうことも大切だと思っています。が大切だと私も考えています。今の農業における諸問題の根底には「生産と消費の乖かり離」があります。特に消費者心理については、いるま野管内は農地も多いですが、住民のほとんどは生産現場を知る機会がありません。理解醸成には農産物が商品になる前の、土の上で育つ姿を見てもらうことも重要です。一度、畑は命を育む場であると感じた人は、「自分ごと」としてむしろ守りたい心理が働き、地域の仲間として応援団になってくれると思います。そのためには農をオープンにし、JA管内の市町民全体が一体となる「参加型」が一つのカギだと思います。小谷氏:勝野審議官が仰る「体験」見ありがとうございます。私自身も生産者として、教育ファームなどの食育に携わっており、消費者理解を獲得することの重要性については身をもって感じています。JAでは准組合員を対象とした収穫体験などを通じて、実際に農業を体験してもらい、身近なところから「地域の応援団」を増やすための活動を行っています。お二人の言葉を受け、農産物の価値をより多くの方に理解してもらうためにも正組合員や准組合員だけではなく、JAを担う地域住民の方や農産物を食べてくれる消費者なども「パートナー」として考え、相互扶助の精神のもと地域農業の発展のために尽力したいと思います。亀田組合長:お二人の貴重なご意農林水産省大臣官房審議官農ジャーナリストフリーアナウンサーいるま野農業協同組合代表理事組合長05勝野美江小谷あゆみ亀田康好勝野美江氏 プロフィール経歴 1991年に農林水産省入省。中国四国農政局や近畿農政局にて食農教育の出前事業などを一から手掛けた経験も経て食育担当に就任。2016年より内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局にて参事官、2019年からは同事務局にて企画・推進統括官として食文化、ホストタウン等を担当。2021年11月には徳島県初の女性副知事を務め、2023年7月より農林水産省大臣官房審議官(兼経営局)として活躍中。 2024年にはJAいるま野越生支店梅部会主催の研修会にて基調講演を行う。小谷あゆみ氏 プロフィール経歴 1993年石川テレビ放送のアナウンサーを経て、2003年からフリーアナウンサーに転身、現在はエッセイスト・農ジャーナリストとしても活躍中。局アナ時代の番組企画を契機に始めた家庭菜園をライフワークに「ベジアナ」として活動。全国の農村を取材し、農の多面的な価値などをテーマにメディアで紹介。日本農業新聞コラム記事「今よみ」の執筆なども手掛ける。 2020年からは農林水産省「世界農業遺産等専門家会議委員」を務め、2024年のJAいるま野リーダー研修でも基調講演を行う。×× い
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