サトイモ疫病は、温暖・湿潤な6~10月に発生するさといもの重要病害です。県内では令和元年に発生が確認され、翌年の令和2年に大発生となり収量に大きな影響が出たことは記憶に新しいことと思います。その後、令和3年以降は収穫量を減少させるような発生はありませんが、今後、令和2年のような気象条件となれば再び大発生することも考えられ、十分な注意が必要です。防除には、種芋の選別や消毒も大切ですが、これから10月までの生育期の薬剤散布が最も重要な防除対策となります。1株の葉の合計が、15枚程度発病前から予防防除開始サトイモ疫病は、6月以降、さといもの葉の枚数が増え、ほ場内が多湿になると発生しやすくなります。これまで数年にわたる調査により、親芋、子芋を合わせた1株あたりの葉の枚数が15枚以上になると発病リスクが高まると考えられます。そこで、これを薬剤散布開始の一つの目安としてください。薬剤は、発病前から予防散布をすると効果的です。予防効果に優れるペンコゼブ水和剤(ジマンダイセン水和剤)、ピシロックフロアブル、ランマンフロアブル等を10日~2週間おきに散布して発病を予防します。曇雨天が続いたら下葉から発病確認・かん水器具付近注意梅雨明け後、高温・乾燥が続く条件では発病リスクは低いです。乾燥に弱いさといもの生育を促すため、十分に灌水してください。ここ数年の調査では、一時的に気温が低くなり、まとまった雨や曇雨天が数日続くような気象条件時に初発が確認されています。このような気象条件となった場合、自分のほ場を注意して観察し、発病がないか確認してください。発病は、下葉から始まることが多いので、下葉を中心にチェックしましょう。また、かん水器具の周辺は多湿になりやすく、発病リスクが高まるので、特に注意してみてください。発病が確認された場合、病葉が少なければ切除して処分し、ただちに治療効果に優れるダイナモ顆粒水和剤をほ場全体に散布してください。この際、さといもの葉は薬液がつきにくいので、薬液には必ず展着剤(ドライバーまたはスカッシュ)を規定量加用してください。ただし、高温時の薬剤散布は薬害発生リスクが高まるので、散布は朝夕の涼しい時間を選んで行ってください。その後も、株や病気の状態、気象条件を確認しながら、1~2週間おきに散布して防除します。ダイナモ顆粒水和剤の他にも、カンパネラ水和剤(ベネセット水和剤)、アミスター20フロアブルが疫病に対して治療効果のある薬剤です。いずれの薬剤も連続してかける (注)カンパネラ水和剤(ベネセット水和剤)と、ペンコゼブ水和剤(ジマンダイセン水和剤)は、同一の有効成分マンゼブ(使用回数2回まで)を含むため、これら薬剤の使用にあたっては散布履歴をよく確認し、使用回数を超えないよう特に注意してください。と耐性菌が発生し、薬が効かなくなる恐れがあるため、薬剤は2~3種類を輪番で使うようにしましょう。軟腐病にも注意疫病に感染した場合や、台風等で茎葉が損傷した場合、葉の傷口から軟腐病が発生して芋にまで被害が及ぶ場合があります。このような場合は、疫病だけでなく軟腐病にも登録のあるジーファイン水和剤やICボルドー66Dを散布して防除しましょう。*農薬を使用する際は必ず使用農薬のラベルを確認しましょう。農薬の飛散防止に努め、使用記録簿をつけましょう。記載農薬は2024年3月27日現在の登録状況に基づいています。1 梅雨期間(6~7月)の防除対策2 梅雨明け後(7~9月)の防除対策3 倒伏前(9~10月)の防除対策写真 サトイモ疫病の病徴04【本ページに関する問い合わせ】埼玉県川越農林振興センター 農業支援部 ☎049-242-1804 サトイモ疫病の効果的な薬剤防除方法について
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