JAいるま野 広報誌 2019.6|No.278
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めました。 「基礎はほぼ出来上がっている。風の吹かない日にビニールを掛け、完成させたい。天候次第ですね」と安田さんは話し、澄んだ青空を見上げました。完成後、トマトを栽培するとのことです。2人の出会いと農業への想い 安田さんは東京都世田谷区で生まれ、大学卒業後、牧場勤務やサラリーマンを経験。「農業をしながら田舎暮らしをする生活に憧れていた」と話します。一方、石黒さんは富士見市で生まれ育ち、短大を卒業後、食品関係の会社に勤務。「20歳代の頃から食に興味があり、いつか農産物を栽培してみたい」という想いを持っていたそうです。 2人の出会いは平成12年のアメリカでの語学留学。帰国後、別々の道を歩んでいた2人は偶然に再会。「農業への考え方に多くの共通点があり、農家になろう」と意気投合。 平成28年に半年間、車中泊をしながら沖縄以外の全国各地を訪れ、就農地を探したそうです。「農業大学校に入れば就農地を見つけやすいよ」と旅先でアドバイスを受け、消費地に近い埼玉で就農することを目指し、平成29年4月から1年間、熊谷市の県農業大学校に入学。圃場での栽培実践や座学でも野菜栽培の「イロハ」を学びました。栽培に関すること以外にも「人と人の繋がりの大切さを学べた」と2人は声を揃えます。 現在は鶴ヶ島市内の農家から土地を借り、朝から日が暮れるまで畑で過ごす日々。今の生活に安田さんは「自分が待ち望んだ生活が送れ、何も苦労を感じない。毎日好きなことができている」と充実感を漂わせ、石黒さんも「毎日食べる食事も畑から収穫して準備できるし、周りの方が気にかけてくれるのが嬉しい」と楽しそうに話します。これからの夢 今はそれぞれに野菜を育て、販売していますが、支え合いながら農作業を行っています。安田さんは昨年、トマトを2㌧ほど収穫したことから、今年は中玉のトマト栽培を柱として定植する株数を増やす予定です。石黒さんはミニトマトやナス、サトイモなどの多品目栽培に取り組むそうです。収穫するお互いの農産物はJA直売所や、市内の量販店で販売予定。「夏には販売所を設置し、畑で直売も行うので、楽しみにしてください」と安田さんが話す側で石黒さんが嬉しそうに頷きました。 近い将来2人は家族となり、トマトの施設栽培の他、直売所を併設した農家レストランやカフェの経営を目標にしています。「支え合いながら農家として、新たな歴史を築いていきたい」と、目を輝かせながら話す2人の上空から雲雀の囀りが気持ち良く響いてきました。これから農家としての新しい歴史を積み重ねていく2人。トマト栽培用のハウスを建設し、今夏からトマトの直売を始める予定。「いるま地域明日の農業担い手育成塾」とは JAいるま野の農地集積円滑化事業における研修事業として、当JAが事業実施主体、市町、農業委員会が研修実施主体となり、さらに先進的地域指導農家が塾生のバックアップを行っています。これまで農家出身でない就農希望者は、農地の利用権などの許可が得られず、就農を断念せざるを得ない状況でしたが、この支援システムによって就農しやすくなりました。研修生は生産から販売まで模擬経営を実践しています。先輩農家から「頑張って!」と声を掛けられ笑顔を見せる石黒さん㊧。05「いるま野」2019.6

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